ただ、名前を呼んで
気づいたら僕は内藤さんに訴えていた。少し声が震えた。

内藤さんはまた大きく溜め息をつくと、高圧的な目で僕を見る。


「生意気な事を言うな!子供は黙っていれば良いんだ!」


再び内藤さんが怒鳴ると、後ろから「ひっ!」と声が聞こえた。

見ると母は両腕で自身をきつく抱きしめて震えていた。
その目は明らかに怯えている。


「いや、いや、いや。」


怖がる母の元に僕は思わず駆け寄る。
これ以上動揺させてはいけないので、触れることはしない。
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