ただ、名前を呼んで

「いや、いや、いや。」


怖がる母の姿を見て、僕は切なくなる。
振り返り、内藤さんをキッと睨む。

内藤さんは若干たじろぎ、気まずそうに顔を背けた。


「すまない、カスミ。驚かせてしまった。」

「外で話しましょう。ロビーにソファーがある。」


祖父の言葉で話し合いの場所を移すことになった。
僕は少し迷った後、祖父に付いて一緒にロビーへ向かう。

部屋を出る時母を振り返ると、少し落ち着いたように見えたのでとりあえず安心した。
< 96 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop