Love at first sight.
12
「やっぱり南向きは譲れないと思いますよ」
「日当たりは重要ですからね」
「呉羽、キッチンは?」
「カウンターにもテーブルにも出来るダイニングなんて夢ですよね。キッチンからカウンターにすぐ料理が出せるのとか、便利だし理想だと思います」
「運ぶ手間も減りますから…女性らしい意見ですね」
「後はバスルームか……広い方がいいな」
「社長……お考えが浅はかです、手に取るように見えます」
「苅谷…俺の家のデザインに浅はかもなにもないだろ。バスルームはどうだ?」
初めてたつ…省吾さんの会社に来ました。お店には前に一度来てくれた秘書の苅谷さんが迎えに来てくれて。話してみると物腰が柔らかくて優しい人。何だか少し、省吾さんに似てる…かな?
社長室には【the president's office】のプレートが掛かってて、内装は省吾さんの趣味らしくモノトーン基調。
そこに建築デザイナーを呼んで、新居のデザインの打ち合わせ。
別に私の意見ばかり通さなくても、省吾さんが住むんだから、省吾さんの趣味で決めればいいのに。
三時間くらいでデザインが決まり、デザイナーさんは慌てて帰って行った。明日からもう着工するから、早急に手配が必要なんだって。
「お疲れさまでしたね、相模さん。うちの我が儘傲慢社長に捕まるなんて災難を…」
「苅谷…」
「社長としてはそれはそれは有能ですが人として少し欠陥のある方ですから」
「苅谷っ」
「省吾さんと苅谷さん…似てますね」
「…何故そう思われましたか?」
「え、と…兄弟…みたいだな、って…」
私の言葉に二人が驚いたように顔を見合わせた。
「異母兄弟だからな」
「え!?」
「私はこの暴君の異母弟にあたります。元々秘書志望でしたから、混乱を避けて母の姓を名乗っていますが」
「暴君とはよく言ったものだな、苅谷?」
ぎろりと省吾さんは苅谷さんを睨む。
「事実ですから」
仲…いいんだよね?
「ああ、立体模型は明日届けて下さるそうですよ」
「そうか」
図面を見ただけだけど、地上三階地下一階の規模の小さいビルみたい。地下はガレージになるみたいで、八台分の駐車スペース。玄関は二階に相当する場所からで、リビングやダイニング、広いキッチンと書斎。三階が四室のゲストルーム。一階は中で二部屋になってる主寝室やウォークインクローゼットと収納部屋。
南の日当たりのいい庭はリビング直結で、一階の主寝室からも行ける。庭は芝生を敷いて、テラス席も作るんだって。
一階と三階にバスルームやトイレ完備、二階にはシャワーブースもある。マンションの部屋もモデルルームみたいだったけど、これはモデルハウスみたい!
省吾さんと私の部屋で暮らし始めてから、何だか奥さんみたいな生活になった。朝、省吾さんを起こしてご飯作って、いってらっしゃいのキス。
休日には一緒に省吾さんの新居の家具を見に出掛ける。
省吾さんにもうちの合鍵を渡してあるし…。
「広すぎるのは問題だな」
私との距離が出来るなんて言いながら、省吾さんはうちを気に入ってくれてるみたい。でも新居が出来たらこんな生活も出来なくなるかと思うと、少し淋しいな。
「こんにちは」
「あ…いらっしゃいませ」
省吾さんと暮らし始めて一ヶ月した頃、東雲さんがお店に来てくれた。省吾さんにここを訊いて来てくれたんだって。
「イタリアンローストとハウスブレンドを一番細かく粉にして五百ずつと豆のままを二百ずつお願いできますか?」
「畏まりました」
「あと店内でウィンターブレンドを」
「席までお持ちします。領収書はご入り用ですか?」
「ええ、五百の分だけ」
「はい、畏まりました。先にお会計失礼します」
秘書さんらしくスーツをばしっと着こなした美人さん…こんな人になりたいなぁ。
「意外と近くにあってよかったわ。今、社内でもすごく評判よくて」
「ありがとうございます」
「日当たりは重要ですからね」
「呉羽、キッチンは?」
「カウンターにもテーブルにも出来るダイニングなんて夢ですよね。キッチンからカウンターにすぐ料理が出せるのとか、便利だし理想だと思います」
「運ぶ手間も減りますから…女性らしい意見ですね」
「後はバスルームか……広い方がいいな」
「社長……お考えが浅はかです、手に取るように見えます」
「苅谷…俺の家のデザインに浅はかもなにもないだろ。バスルームはどうだ?」
初めてたつ…省吾さんの会社に来ました。お店には前に一度来てくれた秘書の苅谷さんが迎えに来てくれて。話してみると物腰が柔らかくて優しい人。何だか少し、省吾さんに似てる…かな?
社長室には【the president's office】のプレートが掛かってて、内装は省吾さんの趣味らしくモノトーン基調。
そこに建築デザイナーを呼んで、新居のデザインの打ち合わせ。
別に私の意見ばかり通さなくても、省吾さんが住むんだから、省吾さんの趣味で決めればいいのに。
三時間くらいでデザインが決まり、デザイナーさんは慌てて帰って行った。明日からもう着工するから、早急に手配が必要なんだって。
「お疲れさまでしたね、相模さん。うちの我が儘傲慢社長に捕まるなんて災難を…」
「苅谷…」
「社長としてはそれはそれは有能ですが人として少し欠陥のある方ですから」
「苅谷っ」
「省吾さんと苅谷さん…似てますね」
「…何故そう思われましたか?」
「え、と…兄弟…みたいだな、って…」
私の言葉に二人が驚いたように顔を見合わせた。
「異母兄弟だからな」
「え!?」
「私はこの暴君の異母弟にあたります。元々秘書志望でしたから、混乱を避けて母の姓を名乗っていますが」
「暴君とはよく言ったものだな、苅谷?」
ぎろりと省吾さんは苅谷さんを睨む。
「事実ですから」
仲…いいんだよね?
「ああ、立体模型は明日届けて下さるそうですよ」
「そうか」
図面を見ただけだけど、地上三階地下一階の規模の小さいビルみたい。地下はガレージになるみたいで、八台分の駐車スペース。玄関は二階に相当する場所からで、リビングやダイニング、広いキッチンと書斎。三階が四室のゲストルーム。一階は中で二部屋になってる主寝室やウォークインクローゼットと収納部屋。
南の日当たりのいい庭はリビング直結で、一階の主寝室からも行ける。庭は芝生を敷いて、テラス席も作るんだって。
一階と三階にバスルームやトイレ完備、二階にはシャワーブースもある。マンションの部屋もモデルルームみたいだったけど、これはモデルハウスみたい!
省吾さんと私の部屋で暮らし始めてから、何だか奥さんみたいな生活になった。朝、省吾さんを起こしてご飯作って、いってらっしゃいのキス。
休日には一緒に省吾さんの新居の家具を見に出掛ける。
省吾さんにもうちの合鍵を渡してあるし…。
「広すぎるのは問題だな」
私との距離が出来るなんて言いながら、省吾さんはうちを気に入ってくれてるみたい。でも新居が出来たらこんな生活も出来なくなるかと思うと、少し淋しいな。
「こんにちは」
「あ…いらっしゃいませ」
省吾さんと暮らし始めて一ヶ月した頃、東雲さんがお店に来てくれた。省吾さんにここを訊いて来てくれたんだって。
「イタリアンローストとハウスブレンドを一番細かく粉にして五百ずつと豆のままを二百ずつお願いできますか?」
「畏まりました」
「あと店内でウィンターブレンドを」
「席までお持ちします。領収書はご入り用ですか?」
「ええ、五百の分だけ」
「はい、畏まりました。先にお会計失礼します」
秘書さんらしくスーツをばしっと着こなした美人さん…こんな人になりたいなぁ。
「意外と近くにあってよかったわ。今、社内でもすごく評判よくて」
「ありがとうございます」