君といた夏
《玲奈side》
「ーーーーーんっ…」
「玲奈?!」
ゆっくりと瞼を開けば、どうやら保健室のベットに寝ているらしい。
涼を助けに行ったのに……
結局、私は何も出来てない。
「涼……」
「もう、やめろよ……玲奈…!」
顔を横に向ければ、ベットの脇には、愁くんが立っていた。
「まじで……本気で怖いんだ。
玲奈が、また……中学の時みたいにもどりそうで……、怖い。」
私の手を握って、愁くんは顔を俯けた。
「玲奈が、こんな目に合うくらいなら、俺は涼太と付き合うことには反対だ。」
「………わかってるよ。
愁くんが私を守ろうとしてくれてること。」
中学の時もそうだったよね。
ほとんど関わりのなかった私を、隣のクラスだった愁くんが、いつも助けてくれた。
いつでも、そばにいてくれたよね。
「愁くん、ありがとう。」
本当に、本当に、ありがとう。
でも………
「それでも、涼が好きなの。大好きなの。諦めたくないんだ……」