君といた夏
私が笑っても、愁くんは顔を歪めたままだった。
「愁くんが、私を大切に思ってくれるように、私だって愁くんは大切だよ。
同じ気持ちだよ。
だから、そんな顔しないで。」
愁くんの、そんな辛そうな顔はみたくないよ。
愁くんは、優しすぎるんだ。
「……………な訳、ないだろ」
「え?」
「同じ気持ちなわけ、ないだろ!
玲奈はなんも、わかってねえよ!」
なにが、そんなに悔しいの?
なにが、そんなに辛いの?
同じ気持ちじゃない、ってなに?
「私だって愁くんが大切だよ。」
「お前のその気持ちと、俺の思いは違う。……同じになるなんて、あり得ないんだ。
玲奈は、俺の気持ちはわからねえよ。」