君といた夏



私が喋るたびに、愁くんは顔を悔しそうに歪める。



私と愁くんの思いは、違うの?





「………ごめん。
今回は全部俺が悪い。今のも、忘れて。
涼太にも謝らなきゃダメだな。」




愁くんは、そのまま私を抱きしめた。




「愁くん………?」



「今だけでいいから、ちょっとこのままにさせて。
玲奈は、涼太のものだって、わかってるから。」




ぎゅーっと力強く、抱きしめられる。




涼に対する罪悪感が出てくるけど、



今、この愁くんの手を拒んだら、ダメな気がした。



愁くんが、切ない声を出すから……





私は、愁くんを拒めない。




私と愁くんの間には、中学から今まで、恋愛に関することは何も無かった。




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