君といた夏
だけど、何度か抱きしめられたことだけはある。
この温かい体温は、私を安心させてくれるんだ。
「ね、愁くん。」
「ん?」
「私ね、涼にちゃんと話そうと思うんだ。あの日々のこと。」
「………いいのか?」
本音を言うとね、怖い。
この過去に同情されたくない。
この過去で、嫌われたくない。
好きな人に話すことが、こんなに怖いなんて、考えたことが無かったよ。
「涼には、私をしっていて欲しいの。
過去のことを涼に話せば、愁くんだって、私と板挟みにならなくて済むでしょ?」
親友である涼と、私の間で、愁くんも辛いと思うんだ。
私が涼にちゃんと話さない限り、また喧嘩しちゃうかもしれない。