君といた夏
この体を、離したくない。
弱虫で泣き虫で、ドジで。
だからこそ、甘えさせてやりたいのに、俺はそれすら叶えられてねぇじゃねぇか。
「何でも言って。何でもする。」
「いいよ、そんなの。涼が戻ってきてくれたから、いいの。」
ーーー俺、バカだな。
勝手に、全部決めつけて。
こんな不器用な玲奈が、
こんなに優しい愁が、
俺を裏切るわけねぇじゃねぇか。
「本当、なんかさせて。
もう、二度とこんな馬鹿なことしないから。」
「涼らしくないね?
いつも冷静で無口なくせに、こんな時だけいっぱい喋る。」
こんな時だからだろ?
俺は、お前を自ら手放そうとしてたんだ。
こんなにも、好きなのに。
「んー……じゃあね、涼。
好きって言って。」
そんなの、簡単すぎるんだよ。
俺のお前への想いの全てを言葉にできねぇけど、何回でも伝えてやる。
「愛してる。」