君といた夏



「私はね……」



大きく深呼吸する。


頑張れ、私。



怖がる心も、震える声も「やめて」と叫んでる。



言いたくない。



でも、言わなきゃ進めない。






「中学の時、」



私たち4人に緊張が走る。



顔を上げれば、愁くんが悔しそうな顔をしているのが見える。







「ーーーーいじめられてたんだ。」










誰も、喋らなかった。



『ああ、終わった』


そう思った。



誰が好き好んで、いじめられっこと共に過ごしたい?


いじめられた過去は、二度と消えない。




あの中学の卒業生が、誰も来ないような遠い高校を選んだ。



それでも、私の過去は、


私を邪魔するんだ。





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