君といた夏
「…っ、……」
溢れる涙と、思い出す描写。
息が、出来ないよ。
「は、はっ……は、は、」
酸素が足りないの。
呼吸が止まらず、どんどん速くなる。
「玲奈!タオル……!!」
愁くんの慌てた態度と、手慣れた対応。
でも、それよりも早く、私の呼吸は戻った。
「ーーーー大丈夫だ。」
後ろから覗き込まれ、涼は私唇を重ねる。
深いキスじゃない。
優しい、労わるようなキス。
「俺がいる。」
その声が、私をいつだって救うんだ。
あの出会いの日のように。