君といた夏



試合が終わるが早いか、彼の周りには女子が群がる。



相変わらず、モテる。



私が彼を好きになったのは、彼の能力や見た目じゃない。


彼の心だ。



だから、彼の努力も知らない彼女たちには負けたくない。




ーーと思うけれど。



もともと人間の集団が苦手な私は、その輪に入っていくことができない。



恐れすくんだまま、ポツーンと、隅っこにタオルとドリンク、そして手作りのレモングミを持って立っている。




モテる彼氏なんて、いらない。




彼の周りに女子がいることなんて、いつものことだけど。



いつまで経っても、この痛みも嫉妬も消えない。



それでも、彼がーーー涼が好きなんだ。




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