君といた夏
「俺と玲奈は、中学の委員会で知り合ったんだ。」
私が涼の胸に顔を埋める中、今度は愁くんが話してくれた。
「小学校もクラスも違うけど、委員会で当番が一緒になるうちに、仲良くなった。
中学2年の冬になったある日。
俺は、誰もいない図書室で、ボロボロになって倒れてる玲奈を見つけた。」
「っ!!」
千夏の息を飲む音が聞こえる。
「身体中傷だらけで、意識もあんまりないくせに、『何でもない』『ごめん』それしか、玲奈は言わなかった。」
あの時は、いじめられているのを認めたくなくて。
自分がいじめられたなんて、思いたくなくて。
全て否定してたんだ。
自分でもわかってたくせに認めなかった。
「打撲傷のせいで、熱も出た玲奈に俺は何度も言うしかなかった。
『お前はいじめられてるんだ』って。」