君といた夏
「なんで、そんなこと言ったのよ!!」
千夏が叫んだ。
『お前はいじめられている』
その言葉は、本人にとってどれだけ酷なことか……
でもその日、愁くんは泣きそうな顔で何度も何度も、そう言ってくれた。
「だって、仕方ないだろ……。
いじめられてることを自覚しない限り、逃げようなんて思わないだろ!!!」
叫び返した愁くんの声は、悲鳴のようだった。
愁くんの言うとおりなんだよ。
愁くんが自覚させてくれるまで、私は抵抗せずに殴られ続けてた。
『痛い』と叫び、
『どうして?』と問いかけて。
でも、抵抗も涙も見せずに、抗いもしなかった。