君といた夏



「なんで、そんなこと言ったのよ!!」



千夏が叫んだ。




『お前はいじめられている』


その言葉は、本人にとってどれだけ酷なことか……




でもその日、愁くんは泣きそうな顔で何度も何度も、そう言ってくれた。



「だって、仕方ないだろ……。
いじめられてることを自覚しない限り、逃げようなんて思わないだろ!!!」



叫び返した愁くんの声は、悲鳴のようだった。



愁くんの言うとおりなんだよ。



愁くんが自覚させてくれるまで、私は抵抗せずに殴られ続けてた。




『痛い』と叫び、


『どうして?』と問いかけて。



でも、抵抗も涙も見せずに、抗いもしなかった。




< 122 / 168 >

この作品をシェア

pagetop