君といた夏
「なぜ、そいつと知り合いなんだ?」
愁くんも忌々しそうに、涼に問いかける。
「知らないの?」
涙声のまま、千夏が入ってきた。
「その子、坂本のファンクラブの会長じゃない。」
「まじかよ……最悪だな。」
愁くんも私も知らない真実。
なんで、気付けなかったんだろう。
そんなに大切なことを。
「玲奈はそういうのは疎いから、知らないかもしれないけど。
ぶりっ子ってことで有名。私は嫌いだけどね。」
「当たり前だ。あんな女。」
愁くんにしては珍しく、人を貶す態度。
吐き捨てるように、“あんな女” と言う。