君といた夏
《涼side》
なんなんだよ……。
自分の顔が赤くなっていることを自覚し、左手で顔を覆う。
まじ、可愛すぎ。
こんな不意打ちの嬉しさは、本当にずるい。
「お前の彼女じゃなかったら、絶対に告白してんのになー。」
「相手が涼太だと武が悪すぎるんだけど。」
チームメイトの声に、俺はニヤリと笑ってみせる。
「安心しろ。絶対に渡さねぇよ。」
「お前、玲奈が愛想を尽かしたら、どうするつもりだよ。」
自信満々の俺に向かって、呆れながら半分冗談めいて愁が突っ込んできた。
「もう一度振り向かせるに決まってるだろ。」