君といた夏
中にいたのは、いつもの笑顔からは考えられないほど、顔を苦痛に歪めた玲奈。
顔には、痛々しいまでに腫れ上がった頬と青アザ。
お腹を守るように当てられた両腕は、紫にまで変色している。
足にも踏みつけられたような跡。
「玲奈、意識あるか?!」
慌てて近寄り耳を澄ませば、か細い声が聞こえた。
「……りょ……お…?」
消えそうなほど、微かな声。
一向に開けようとしない瞼。
「おい、玲奈?!
救急車呼ぶから待ってろ…!」
必死に俺は鞄の中の携帯を探るが、焦っているせいか見つからない。
「……やめてっ……」
そんな俺を、玲奈が止めた。