君といた夏





「りょぉ………」




出来るだけ急ぐ俺の腕の中で、玲奈が泣いている。




玲奈をこんな風にさせた奴に、怒りが沸き起こる。



絶対ぇに許さない。




「大丈夫だ、俺がいる。」




守ると決めたのに、守れていない俺が言えたことじゃない。



でも、少しでも玲奈の悲しみが薄れてくれるなら、別にいいだろ?




震える啜り声 (すすりこえ) の玲奈は、俺のシャツをギュッとつかんだ。




何も言わないけど、こういう時の玲奈は何かを溜め込んでいるんだと、学んだ。




一刻も早く手当をして、ちゃんと聞いてやらなきゃいけねぇ。






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