君といた夏
何よりも守りたいもの
「親父っ!」
「なんだ騒々しい、挨拶もなしか。」
「それどころじゃねぇっての。」
慌てて駆け込んだリビングで、のんびりと本を読んでた父に助けを求める。
「親父、こいつのこと診てくれ。」
腕の中にいる玲奈を親父に見せる。
「これは……相当な力でやられたな。」
玲奈を見た途端、親父のふざけた顔は真剣なものへと変わった。
「ソファーの上に寝かせて、救急道具持ってこい。」
「おう。」
こう見えても、親父は優秀な外科医として近くの大学病院で働いている。
俺もそんな親父を尊敬しているからこそ、安心して任せられるんだけどな。
親父の部屋にある救急道具を持って手渡す。