君といた夏
「お前の彼女か?」
「ああ。すげぇ大切なやつ。」
「お前のそんな顔は初めて見たな。」
手際良く治療をしていく親父。
「っ……」
俺たちの話し声のせいか、浅い眠りについていた玲奈が起きた。
「ごめんね……大事な時期なのに」
バスケの試合のことなんだと気付くまで、数秒かかった。
自分の方が大変だってのに、こんな時にまで人のこと考えてるんじゃねぇよ。
「俺は、玲奈になら甘えてもらいてぇんだ。謝るな。」
痣になってねぇところを優しく撫でる。
許せねぇ……
「涼太。」
親父の呼ぶ声に顔をあげる。