君といた夏



「外傷はかなり酷いし、骨もヒビが入っているかもしれない。」



視線を玲奈に移すと、その体の痛々しさが改めてわかる。




「……親父に診てもらえねぇか?」



「何か訳ありってことだな。」



俺の言葉に、親父は深刻そうに頷く。




正直、玲奈の抱えている問題はわからねえけど、病院に行かれないよりはマシだ。



「さっきも病院に対して過度な拒否を見せたからな。」



だから、家に連れてきたんだけどな。



親父がいなかったら、どうしようもなかった。




「助かった。ありがとな親父。」



俺のその言葉に、親父は意外そうな表情を見せる。



「お前が礼を言うとはな。」



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