君といた夏
「うるせぇよ、本当。」
俺の声に、親父は徐々にニヤける。
「それだけ大事なんだろ?」
「……ああ。」
俺にとって玲奈は、命以上のものだ。
何よりも大事で、何よりも失いたくないもの。
「………親父、悪いな。」
「別に、このくらい、なんてことないさ。」
「そうじゃなくて………跡を継げなくて。」
親父が自分の息子を後継者することが夢なのは知っていた。
俺も、それを叶えてやりたいと思った。
「謝るな。
……謝っても、なにも変わらないだろう。」
「……俺は親不孝者だな。」