君といた夏
「玲奈、待たせたな。」
「ううん。試合勝ったね、おめでとう。」
涼と校門で合流すると、涼は当たり前のように私の手を握ってくれた。
その “当たり前” が嬉しくて、私もギュッと握り返す。
「玲奈……」
涼は表情を硬くすると、私を見つめた。
「俺の彼女はお前だけで、俺が好きになるのもお前だけだ。
だから、俺の言葉は信じて。」
「うん。信じてるよ……」
心から信じてる。
だから、そんなに怖い顔をしないで。
涼が私のことを思ってくれるのは嬉しいけど、でも、こんな顔をさせたくない。
「涼………ありがとう。」