君といた夏
「なに?勇介と喧嘩してんのかよ。」
「五十嵐は黙っててよ。
感傷的になってるんだから……」
私の後ろから声をかけてきたのは、愁くんだった。
たまに神出鬼没な愁くんは、急に現れるからビックリしてしまう。
「勇介は優しい奴だし、なんか事情があるだろ。」
「うん……。」
「あいつも伊藤のことベタ惚れだから、信じて待ってみな。」
「ありがとう、うん!そうする。」
気が付けば、愁くんの言葉で、千夏は元気を取り戻していた。
愁くんは、人の相談を受けるのが得意。
やっぱり、すごいよね。
勇介くんのことを “優しい” と言うけれど、愁くんも十分優しいと私は思っている。