君といた夏



「ほら、やってこいよ」



そう言って、私のヨーヨー釣りの代金を勝手に、屋台のおじさんに支払って。



さり気なく優しいところが、すごく好き。




「やったー!取れた!」


嬉しかったら「良かったな」って一緒に笑ってくれる。



屋台のおじさんも、彼に笑いかけた。




「いい彼氏さんじゃねえか。」



「まだ俺の片思いなんすよ。
俺が粘って、今はお試し期間。」



切なさそうに、愛おしそうに、私に微笑む彼。



本当は、もう気付いている。



私も、彼が好きなんだって。



でもね?



人気者の君と私なんかが付き合ったら、きっと君のイメージが悪くなってしまう。


そして、陰口も言われてしまう。




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