君といた夏
人はなぜ、愛情というものを持っているのだろう。
中学までの人生、特に当たり障りも無かった。
不幸でもなければ、特別幸福でもなかった。
ーーいや、幸せに気付いてなかった。
俺にとって、両親がいることも、兄弟がいることも当たり前。
友達だって苦労しなかった。
女にだって、いざとなれば彼女になってくれるやつに心当たりはあった。
でも、満たされない毎日がそこにあった。
だけど、あの日。
1年前くらいの、雨の日。
1人で泣いている君を見つけた。
土砂降りの雨の中、君に出会った。