君といた夏



女の涙を綺麗だと、思ったのは


あれが初めてだった。



学年でも有名な、美少女で。



成績優秀で、性格も計算ではない本物の天然。


ちょっと弱気なところもあるけど、何事にも一生懸命だとわかる。



だから、男に限らず誰もが守ってあげたくなるやつ。




俺は高校1年では、クラスも違って興味が無かった。





でも、梅雨の雨の日。




バケツをひっくり返したように、強い雨。


突然降ったあの日の雨に、俺もびしょ濡れだった。




誰もが急ぎ足で帰る中、駅の広場でベンチでポツンと君は座っていた。




ーーーあの日。



俺は最初で……最後の恋をした。





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