君といた夏
《玲奈side》
「玲奈……!」
私の名前を呼びながら、彼は顔を歪める。
意識が飛びそうな中で、必死に彼にしがみつく。
「お前の誕生日のはずなのに………俺がもらってるみたいじゃねぇか。」
ふっ、と笑った涼。
そんなこと、ないよ。
私も、幸せを一杯貰ってる。
そう、伝えたいのに……
呼吸だけで精一杯。
「………りょ、………ふっ……ぁ…!」
「俺を見てろ。俺の名前、呼べ。」
朦朧とする意識の中、彼の首に手を回すのだけで一杯一杯。
優しくして、なんて望まない。
あなたが好きなように、してくれればいいの。
私は、涼だけが大好きだから。