君といた夏
「あら、ごめんなさいね?」
謝る気が一ミリも感じられない、その声の主。
今まで、難癖をつけてきた目の前の女の子だった。
絶対にわざと。
そう確信出来るくらい、彼女は隠そうとしていない。
左手にかけられたのは、実験で使うはずの熱湯。
たった今湧いたばかり。
「お前っ!!玲奈に何してんだよ!!!」
怒鳴り声が聞こえ、私は腕を掴まれた。
「さっさと冷やせ。」
当事者の私よりも慌てて、必死な顔で私の手を理科室の水道で冷やしてくれる。
「愁くん……」
「女だろ。早く冷やさないと跡にのこるだろうが。」