君といた夏
俺が寝転がっていた屋上のドアが開く音と同時に、好きではない声が聞こえる。
「野々崎 日向 (ののざき ひなた)……」
「覚えてくれてたの?日向、嬉しいな〜」
嫌でも覚えてしまった、その名前。
普段から会いたくない相手だが……今は特に会いたくない。
「教室から、屋上に涼太くんがいるのが見えたから、サボっちゃった。」
「勝手に名前で呼んでんじゃねぇよ。」
「え〜!日向がなんて呼ぼうが勝手だもん。」
こいつが『もん』とか語尾に付けても可愛くねぇんだよ。
俺の中でそれが許されるのは、玲奈だけだっつうの。
俺は野々崎 日向を軽く睨みつけると、立ち上がる。