ニセ×カレ
「はぁぁ?」

「えぇっ?」


ここにいる、『和希』以外の声が重なった。

彼女ぉ?

何言ってんのこの人…。


私は、和希の前に出て思いっきり否定した。


「ち、違うでしょ? そんな約束してないじゃ――」

「和希何言ってんの?

「この子が彼女?」
 
「こいつどこの誰?」

「なんで…あたしじゃだめで、この子なの?」


私の必死の否定は、女の子たちの声にかき消されてしまった。


「一気に全員でしゃべるなよ。俺が彼女だって言ってんだから、彼女なんだよ。

なぁ、美々果?」

「なぁ…って言われても…。」


一向に言うことを聞かない私に、和希は小さくため息をつくと、小声でこう言った。


「さっき、約束したろ?
『うん』って言っとけって。」

「だって、こんなことになるなんて…。思ってなかったもん…。」


いきなりここ連れてこられてさ…。

素直に『うん』なんて言えないよ?


そんな簡単な女じゃないもん。


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