ニセ×カレ
「違うの、涼太違うんだよっ！　この人、勝手に言ってるだけだからっ！」

「……。」

「は～い。ってことで俺の女返して下さーい。」


そういうと、涼太とつないでいない手を引っ張って自分の元へ引っ張った。

もう、涼太には引き止める力など残ってなくて、簡単につないでいた手は引き離されてしまった。


涼太から引き離した私を自分の胸の中に引き寄せるとぎゅっと抱きしめた。

体が熱くなるのが分かる。


「や、やめてよっ！　こんなところで…。何考えてんのっ？」

「いーじゃん。ほら、涼太に見せつけてやんなきゃさ♪」

「……和希てめぇ…。」


かすかに声が震えているのが分かる。

こんな涼太は見たことがなかった。


そして、藍沢和希は小さくクスッと笑うと私の後ろで組んでいた手を離して、私のあごをもった。

私のあごを少しだけあげると、息をする間もなく私と唇が重なっていた。


周りがさらにざわめく。

私はさらに体が熱くなって、今にも気を失いそうだった。


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