ニセ×カレ
少したつと唇を離して、藍沢和希はまた小さく笑った。


「涼太、どう思った?」


心臓が痛いくらい高鳴って、涼太の顔さえ見れない。

私は一人、藍沢和希の胸の中でうつむいていた。


「…俺に見せつけてどうしたいわけ?
キスぐらい……。」

「したことあるんだ?」

「……な、別に関係ないだろ。」


藍沢和希はクスッと笑うと私から体を離して今度は手を握った。

もう頭の中は真っ白で、されるがまま。


もう…どうなったっていいや……。


「ってことで、もう俺の女触んないでねぇ~。」

「…俺、触ってなかったけど?」

「手ぇ繋いでたのに? 触ってんじゃん?」

「もぉどうでもいいよ…うん……。」

「じゃあ、美々果が大変そうなので…俺ら場所移動しま~す。」


場所移動して何するのさ。

私が大変そうだってわかってるんなら、今すぐその手を離してよ…。




< 38 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop