ニセ×カレ
「だ、大丈夫か…?」

「…ック……大丈夫…かな…?」

「そ、そっか…。ていうか何されてたんだ…? 絶対なんかされてただろ?」

「大丈夫だから…。」

「そうじゃなくて…。あいつらに何されたんだって聞いてんだよ!」

「お話してただけ…だもん。」

「ほんとか、嫌なこと言われたんじゃないのか?」


もう、隠すのは無理だね。

心配かけたくないって思っちゃった。

なんだろうこの気持ち…。


いったん彼の胸から離れて私は口を開いた。


「いわれたよ。なんで手を出したの…とか、勝手に手なんて出していいと思ってんの…とかね。」

「麗華に…?」

「うん。もういいよ、全然気にしてないから。」


私は涙をぬぐうと、無理矢理笑って見せた。

心配かけちゃいけない…期間限定の恋なんだから…。


「…ちょっとぐらい、気にしろよな…。俺が、気にするっつーの、そんなお前見てると…。」

「え?」

「帰るぞ、もう涙乾いただろ?」

「うん。」


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