手紙
出会った頃
金木犀の匂いがする季節。
風は乾いていて、
夕暮れ時には
訳もなく切なくて。
そんな季節にキミに出会った。
それは今から14年も前のこと。
今でも忘れられない。
キミの不安そうな顔。
ゆらゆら揺れる瞳から
零れそうな涙は
それでも流れることはなかったね。
あたしはキミの笑顔が
早く見たかったんだ。
あの頃は言えなかったから
今ここに書くよ。
夕暮れの匂いを纏っていたキミへ。