ヴェルセント(1)
なんて日だ!
そう声にだして叫びたいのを堪え、心の中での最大ボリュームで叫んどいた。
明日に私の旅立ちを控えてるいるって言うのに、
不可解なことばかりが起こってる。
懐かしい事を思い出していればまだ自己処理出来るっていうのに、
なんだあの2人は!!
全くもって同じ髪色じゃないか!!
しかも赤髪の彼も“ヴェルギニー国”の正装である黒を基調としたものだ。
何もかもが被っていて頭の中がこんがらがってくる。
唯一2人は“あの人達”じゃないと明白にさせたのは、
青髪の緩くも色っぽい声色は私の知っている彼とは全く異なり、
赤髪の彼は毛先が肩までのセミロングの長さだった。
「おーいお嬢ちゃ~ん。
深傷を負った美男子2人に見向きもせずスタコラ行っちゃうとは酷くねえ?」
『微妙の微の微男子の間違いだと思うけど?
ほら、つまらないこと言ってないでベッドに寝かせてあげて』
後ろから聞こえる青髪の言葉に適当に返答し、小屋の扉開くもガックと肩を落とした。
ああ…ホントなんて日だ。
顔をグチャグチャに歪めたくなる程の青臭さが家中に充満しているではないか。
こんな充満するって分かってたら、窓や扉を開けて出ていけば良かったと後悔先に立たず。
「うっわ!臭っ!」
『五月蝿い!』
青髪の彼の言葉を誰よりも思っているのは私なんだから口に出すな!
キッチンに置いてある大きな壷から水をすくって鍋下の小さな火に投げ掛けた。
ジュウッと火が消える音と共に焦げた匂いが私の鼻奥をツーンとさせ、思わず涙目になってしまう。
━━━…ギシッ
ベッドの軋む音が背後で聞こえ、
青髪の彼が赤髪の彼をベッドに横にさせたと思った。
そそくさと処分したい臭いお汁を凄く重いけど、
とっても重いけどザルへとなんとか移し、ボウルに臭味汁だけ残った。
うん。
実に臭い。
てか、私の手まで臭い。
『はあ…』
小さく溜め息を溢し、
私は近くにあるスプーンを棚から取り出し、
あの臭味汁が並々に入ったボウルを持ってベッドへ移動しようとした━━━…が、私はまたもや自分の目を疑った。
『なんで違う解釈してるの!!!?』