12 love storys
「今度のお盆休みは
空けておいてください。」


課長がおもむろに言った。


私が?って顔を向けると


「結婚を前提に
付き合っている人がいると
両親に紹介したい……
僕もそろそろそういう年齢なのでね
ーーーーダメですか?」








ダメな訳ない
ダメな訳ないじゃない!


「はいっ!
宜しくお願いします。」


だけどーーー


「課長、私なんかで良いんですか?
社内にも私よりもっと素敵な人
いますよ?」


と、言ってみたりすると


「それは、本気?」


意地悪顔で課長が聞き返してくる。


もちろん、本気でそんなこと思っていない。
首を横にブンブンと振るも
だけど、どこか不安で……
私でいいのかなって……。


「僕は一度、気に入ると
簡単には手放さない。
キャンディーも君もね。
僕は君が良いんです。
そのままの君が好きなんだ。
だから、覚悟してくださいーーー」


そう言うと課長はまた
私に唇を重ねそれはあっという間に
深いものへとなった。


ついさっき、事を終えたばかりなのに
これでは体が持たないと
そのまま勢い付く課長を
なんとか制し
私は気になっていた事を
聞いてみた。


「課長……、あの時、山下さんに
何て言ったんですか?
何か耳打ちしましたよね?」


課長が何か言ってから
明らかに山下さんの顔色が
変わったんだよね。
だから、一体何を言ったのか
気になっていた。


私に押し留められた不満を
顔に出しながらも


「山下?
ああ、あれはーーー」










ーーー僕の女に手を出したら
この会社での将来はないものと思え






「まぁ、確認のようなものです。
それより、いい加減、課長はやめなさい。」


と、悪びれた様子もなく言う課長の目は
やはり、全く笑っていなかった。

こ、怖い……。
怖すぎる……。








だけど、知ってるから
課長がどれだけ優しい目をして
笑うのか
私は知っているから


これからもその笑顔が
私だけに向けられるもので
あるようにと


隣で拗ねているその人に
その思いが伝わるように
私は言った。


「課長……。」


「ん、なんです?」


「……孝介……愛してる。」









ビックリしたのも一瞬で
直ぐにニヤリと笑うと


「葉月……火をつけたのは君です。
責任取りなさいーーー」


ひ、ひ、ひぃ~


その後、
課長の本当の怖さを私は
ベッドの上で
たっぷりと思い知らされるのだった。
















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