12 love storys
佑(たすく)の輪から
離れた私は、
兎に角歩いた。




行く先なんて、
決まっていない。




けれど、歩いた。




どれくらい、
歩いただろうか。




それすらも、
分からなくなってきていた。




傷ついた心を
隠すことなく、
歩みを進めた。




不思議なもので、
人というのは、
見たいものほど、
見ないようにする。




傘もささずに、
濡れて歩く私に、
実に上手く人々は
隠された視線を送った。




私は知った。
ああ、
これが好奇の目というのか。








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