12 love storys
漸く、
辿り着いた先はーーー




自宅だった。




ただ、
私は自宅の玄関を開けずに、
同じ敷地にある小屋に
向かった。




防音設備の整った
その小屋に近づくと
微かに、聴こえた。



あの旋律がーーー。



私の瀕死の心に、
明るい光が差し込むようにーーー。



その旋律は奏でられていた。









そおっと、重い頑丈なドアを開けると、



「遅かったね、ここに来るの。」



そう言って、出迎えてくれたのは、
幼馴染みの侑紀(ゆうき)。



「だから言ったじゃん、
最初から僕にしてれば、
良かったんでしょ?
こんなになるまで…………。」



と、私の頬に伝う涙を、
優しく拭ってくれる。



そして、
胸に当てていた手を取られると、
指と指を絡めるようにして、
繋がれーーー



「もう気が済んだろ?
答え出たんじゃない?
素直に僕の胸に収まりなさい。」



と、侑紀が言った。
とても穏やかな表情(かお)で、
言ったんだ。









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