12 love storys
侑紀(ゆうき)とは
子供の頃からの
幼馴染みでもあり、



つい最近、
兄と妹となった。



義理の、だけどね。



私の父親と
侑紀の母親が、
再婚したからだ。



そして
侑紀は子供の頃から
ピアノを習っていて、
現役の音大生ながらも、
昨年、CDデビューを
果たし今、最も注目されている
若手ピアニスト。



国内だけじゃなく、
世界からも注目される侑紀に
私は相応しい人間ではないと
思っている。



それだけではない。
私はずっと昔から
幼馴染みという
身近な存在同士で
くっつくのもナンセンスだと、
そう思っていた。



それが、
いまや、
兄と妹となれば尚のこと。




けれどーーーー。




侑紀の穏やかな表情(かお)を
見ると、



もう、意地を張るのは止めよ
って、思ったんだ。




私が意地を張ることで、
十分、傷ついた。



違うな、傷つけたんだ。



自分でも分かってた。
佑(たすく)と付き合ったのも、
侑紀を遠ざけたかったから。
そして、
佑は恐らくそれに
気づいていたってことも。







私は佑を心から愛している、
【フリ】を
していただけなんだ。



そうすることで、
侑紀への真実の愛に
気づかない
【フリ】を
していたんだ。



私は結果、
二人の男性を
傷つけた。



二人の男性は
私のその【フリ】を
黙って受け入れて
くれていた。



佑と侑紀。



特に佑には申し訳ないことを
したと思っている。
佑は全てを分かっていた上で、
私の肩を抱き寄せ、
そして、
私を遠ざけた。



全部が自分の気まぐれなんだと、
周りに教えるように。



佑なりの、
愛情なんだと、思う。



今なら素直に、
佑がどうしていつも
人々の中心にいるのかが、
よく分かる気がする。



佑はそういう人なんだ。



だからこそーーーー。



もう、
素直になろう、と思う。



私の事をずっと
待っていてくれた人に、
素直な気持ちを伝えよう、
と思う。



私は侑紀が好き。
子供の頃から、
侑紀が楽しげにピアノを
弾く姿を見るのが大好きだった。



そして、
ずっとこの先も、
他の誰でもなく、
私が一番近くで、
侑紀が奏でる旋律を
聴いていたいと願っている。
だからーーー。










「侑紀ーーー好き、だよ。」



私は侑紀の胸に収まった。




その瞬間、




新しい五線譜に、
メロディが刻み込まれていった。



二人で奏でる、
愛しい旋律がーーーー。



















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