12 love storys
【November】 雪虫
よく晴れた秋の空、
雪虫が
風よ、吹くなと
ふぅわり
ふぅわり
気持ち良さげに
飛んでいます。
雪虫を見つけたなら、
それは
冬の訪れ
そして、
雪虫たちは、
次の代へと繋ぐ
準備を整えたなら、
ふぅわり
ふぅわり
儚く
泡のごとく
散りゆくでしょう。
「ねぇ、
雪虫って何?」
都会育ちの私は
雪虫なんて
聞いたことがない。
ソファーに寝転び
何やら難しげな
本を読む俊樹に聞いてみる。
「ん?」
本から目を
反らすことなく
声だけが反ってくる。
「だから、
雪虫ってなに?」
それでもしつこく
私が聞くと
呪文の様な言葉を言われた。
「トドノネオオワタムシ」
「何?
トドノ?何?」
「トドノネオオワタムシ」
今度はゆっくりと、
まるで
子供に教えるように
言うと、
漸く、本を置き、
ソファーの下にぺたんと
座る私の顔を覗き込んできた。
「どうしたの?
保育士辞めて昆虫博士にでも
なるつもり?」
「もうっ、
からかわないでよ。
昆虫博士は俊樹でしょ?」
俊樹と私は
付き合ってもう三年。
仕事が忙しい俊樹は
休みも中々
取れなかったりする。
だから、
大抵週末は、
私が俊樹の部屋に
泊まりに来るのが
ここ一年くらいの、
パターンになっている。
本当はもっと、
もっと、
側にいたいんだけど……。
雪虫が
風よ、吹くなと
ふぅわり
ふぅわり
気持ち良さげに
飛んでいます。
雪虫を見つけたなら、
それは
冬の訪れ
そして、
雪虫たちは、
次の代へと繋ぐ
準備を整えたなら、
ふぅわり
ふぅわり
儚く
泡のごとく
散りゆくでしょう。
「ねぇ、
雪虫って何?」
都会育ちの私は
雪虫なんて
聞いたことがない。
ソファーに寝転び
何やら難しげな
本を読む俊樹に聞いてみる。
「ん?」
本から目を
反らすことなく
声だけが反ってくる。
「だから、
雪虫ってなに?」
それでもしつこく
私が聞くと
呪文の様な言葉を言われた。
「トドノネオオワタムシ」
「何?
トドノ?何?」
「トドノネオオワタムシ」
今度はゆっくりと、
まるで
子供に教えるように
言うと、
漸く、本を置き、
ソファーの下にぺたんと
座る私の顔を覗き込んできた。
「どうしたの?
保育士辞めて昆虫博士にでも
なるつもり?」
「もうっ、
からかわないでよ。
昆虫博士は俊樹でしょ?」
俊樹と私は
付き合ってもう三年。
仕事が忙しい俊樹は
休みも中々
取れなかったりする。
だから、
大抵週末は、
私が俊樹の部屋に
泊まりに来るのが
ここ一年くらいの、
パターンになっている。
本当はもっと、
もっと、
側にいたいんだけど……。