12 love storys
「あのさぁ。」


「俺、あんたのこと一度も年上だと思ったことねぇから。」


「えっ?なに?どういうこと?」


「だから、年上とか年下とかどうでも良いってこと。」


「う、うん……。」


「なんだよ。その愛想ねぇ返事。ったく、人の気も知らねぇで。」


「えっ?どういうこと?」


「だからぁ、俺達なんて所詮、生まれたのたった一週間しか変わんねぇじゃん。考えてみろよ。俺達が生まれて初めてこんな満開の桜を見た頃なんて、お互いふにゃふにゃで、どっちが先輩も後輩もねぇじゃん。」


何だか、例えが極端すぎる気もするけれど、相変わらず私を抱きしめたままで、頭上から降ってくる言葉はとても真剣なものに聞こえた。


「うん。そだね。ふにゃふにゃだよね。二人とも。」


「ああ、ふにゃふにゃだよ。」


クスクス
クスクスクス
クスクスクスクス……


どちらからともなく笑いだし、そして私達は人目も気にせず、抱き合ったままゲラゲラと笑っていた。



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