12 love storys
「ごめんなさい……、
服を汚してしまって……。」


その人の黒くてざっくりとした
セーターは私のファンデーションやら
涙やら鼻水やらで、、、、、


「気にしないでください。
このセーター捨てるつもりでしたから。」


「えっ、そんな。
私、クリーニングします。」


「いいえ、大丈夫です。
実は貰った物でしてーーー彼女に。
漸く、思いきって処分することが
出来そうです。
貴女のお陰だ、ありがとう。」


密着していた体は離れたものの
至近距離で優しい笑顔を向けられ
急に戸惑う私。


不意に絡んだ視線に心臓が高鳴り
何となく照れ臭い。








「あっ、雪止みましたよ。」


窓の外に目を向けると
ただ、真っ白な世界だった。


そこは何もかもが白くーーー


雪は過去を消すんじゃなくて
新しく始めるための
新しいページを用意してくれているんだ。


そんな風に思えた。












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