12 love storys
「誠也くん……私……
誠也くんとなら構わないよ。
だって……私だって
ううん、私の方がもっともっと
誠也くんの事、好きだもん。」


「ったく……。
そんな顔して言うな。
抑えが効かなくなるだろ。」


「抑え…………?」


「俺だって健全な男だからな。
好きな女と密室にいたら
色んな衝動にかられる。」


「そうなの?」


「ああ、このまま
抱いてしまいたい。」


と今まで見たことないような
切ない目で私を見る誠也くん。


その左手はベッドに広がる
私の長い髪をすくい取り
細くスラッと伸びた指先に絡めてゆく。


その感触が何とも言えなくて
心地いい。


「だったら……。」


「ーーーダメだ。」


「どうして?」


「お前は受験生だろが。
ちゃんと、お前が希望する大学に
受かるまではーーー」


そう言うと、また優しく
唇が重ねられた。


けれど今度は直ぐに離れて……


「こっから先はちゃんと
やることやってからだ。
俺にだって教える立場としての
責任があるからな。
まずはこの前、言ったところ
ちゃんと、やってあるんだろうな。」


その顔はいつもの
鬼家庭教師の顔だった。












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