12 love storys
こんな感じで寒がりのあいつの性癖?
太股に手を挟みたがるという
奇行のお陰で私の目覚めは
毎朝、最悪だった。


オフィスに着くと
我が相棒であるパソコンにスイッチを入れ
一通りメールチェックをする。


スケジュールの確認をして
仕事の優先順位を確認していく。


ここはとある不動産鑑定事務所。
私はここで鑑定士の
サポート的な役割をしている。


うちの事務所は先生と
一次試験は取り敢えず受かっている
鑑定士見習いが一人
他に事務の女の子が二人。
そして、私の五人で切り盛りしている。


うちの事務所の特徴は
土地鑑定の評価書を
作るのに他所の事務所が
一週間ならうちは3日でやります
を謳い文句にかなりキツイペースで
仕事をこなしていた。


もちろん、私も将来的には
鑑定士を、目指しているわけで
その為と思ってキツイ業務も
体にむち打ちながら
やっているのだ。


こうして恐ろしくハードで
濃い一日が終わり
今日も重い足を引きずり
あいつがいついている我が家へと
帰っていた。


「ほんと、せめてご飯でも
作れる子だったら良いのに
使えないんだから……。」


残念ながら慎平は顔が良いだけで
全く何も出来ない。
完全なる観賞用らしい。


私は仕方なく駅前のコンビニに寄って
お弁当で済まそうと物色していた。


ん?
なんか……誰か見てた?
不意に視線を感じるけれど
見回してもこれと言って知った人もおらず


「気のせいか。
よし、これでいいや。」


近頃では無意識に
お弁当を二人分買って帰る自分に
全く違和感を感じることもなく
レジで会計を済ませると
家路へと急いだ。
するとーーー










また……?







誰かにつけられている感覚を
覚えながらも
兎に角、足を早めた。


そして漸くマンションの下まで来たときーー


「久しぶり。」


「えっ……?」


ついこの前、
別れ話を切り出した
腐れ縁の浮気男に
肩を掴まれ呼び止められた。









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