12 love storys
その声に振り返ると、同期入社の村沢が立っていた。


「村沢くん、お疲れ様。」と言い直ぐに笑顔を張り付けるも……


「わざとらしい。」


と、言うと私の横をスッと通りすぎて行った。


一瞬で嫌な記憶が甦る。


一緒だ。


あの時と同じだ。


高校三年の時、勇気を振り絞って初めて告白した時、私にチョコの入った箱を投げつけそのまま通りすぎていかれた時と。


嫌な汗が一瞬で背中を伝う。


だけどーーー


私はあの頃の私とは違うのよ。


生まれ変わったの。


あの頃の私はもう、いない。


いないんだから。


必死に自分に言い聞かせる。












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