12 love storys
「お前…………今、めちゃくちゃ良い顔してる。」


村沢は道の真ん中に立ち尽くす私にゆっくりと近づくと、そっと頬に伝う涙をその親指で拭ってくれた。


頬がカッと熱くなるのが分かった。


「村沢…………く……。」


涙がポロポロと止まらなくて、声にならない。


「お前さ、いつだって泣いてた。」


「えっ……?」


「俺にはお前がいつも泣いているように見えた。」


「うっぅぅ……うぇぇん……。」


もう、堪えることが出来なかった。私はそのまま村沢の胸に顔を着けて人目も気にせず声を上げて泣いた。


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