12 love storys
どれくらいそうしていたんだろう。


私は散々泣いて何だか心が軽くなってスッキリした気分だった。だけど、徐々に冷静になる頭で飛んでもない醜態を晒してしまった事を考えていた。


「なぁ?」


「なに?」


恥ずかしさのあまり、顔を上げることが出来ず村沢の胸に顔をつけたまま返事をする。


「そろそろ、移動しねぇ?」


言われて恐る恐る顔を横に向けるとーーー


道行く人々が足を止め、私達の事を物珍しげな顔で見ていた。


「えっと……。どうしたらいい……かな?」


「取り敢えず、行くぞ。」


そう言うと、村沢は少し体を一旦離すと、今一度私の肩に腕を回しグッと抱き寄せると隣に並ぶ形で歩き始めた。


< 89 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop