12 love storys
言葉とは裏腹に村沢のキスは優しくて……。
言葉よりも確かな思いがひしひしと伝わってくる。
だからーーー
私はそのまま村沢のキスを黙って受け入れた。
漸く唇が離れたとき、私のおでこに顔をくっつけたまま、至近距離で村沢が言う。
「謝らないからな。」
「拒否ること出来ただろ?」
「なのにお前は拒否らなかった。」
「今のが俺の気持ちに対しての返事で良いんだな?」
一方的に。
村沢が真面目な顔をして言う。
私は返事をすることなく、ただ、頭の中でいつもいつも仏頂面なのにこう言うとき、村沢ってこんな艶っぽい顔するんだって
そんな事を考えていた。
ダメだ……。
急にドキドキしてきた。
村沢の切れ長の目から一旦、視線を外すと、
「村沢の気持ち聞いてないから答えられない。」
わざと言ってみた。
「き、気持ちってもう分かってるだろが。それにお前、今、嫌がらなかっただろ?それが答えなんだろ。」
「だって……言ってくれなきゃ……分かんないよ。」
こっちだって引き下がれない。
「はぁ……、分かった。」
村沢は少し離れると咳払いを一つして
「俺はお前がーーー好きだ。これからは俺だけに笑顔を見せろ。」
そう言うと、私が返事をする前にまた唇を重ねてきた。
なんて一方的な告白なんだろう。
私の気持ちなんて最初から無視じゃない。
だけど不思議と嫌じゃない。
寧ろ、さっきからドキドキが止まらない。
三月の終わりでまだ少し肌寒いけれど、急激に私の心は熱くなり始めていた。
公園の桜はまだまだ蕾の段階だけど、きっとあっという間に満開の花が咲くだろう。
ずっと真冬のように凍り付いていた私の心が溶けはじめて行く。
漸く私は花咲き乱れる春の訪れを感じた。
終
言葉よりも確かな思いがひしひしと伝わってくる。
だからーーー
私はそのまま村沢のキスを黙って受け入れた。
漸く唇が離れたとき、私のおでこに顔をくっつけたまま、至近距離で村沢が言う。
「謝らないからな。」
「拒否ること出来ただろ?」
「なのにお前は拒否らなかった。」
「今のが俺の気持ちに対しての返事で良いんだな?」
一方的に。
村沢が真面目な顔をして言う。
私は返事をすることなく、ただ、頭の中でいつもいつも仏頂面なのにこう言うとき、村沢ってこんな艶っぽい顔するんだって
そんな事を考えていた。
ダメだ……。
急にドキドキしてきた。
村沢の切れ長の目から一旦、視線を外すと、
「村沢の気持ち聞いてないから答えられない。」
わざと言ってみた。
「き、気持ちってもう分かってるだろが。それにお前、今、嫌がらなかっただろ?それが答えなんだろ。」
「だって……言ってくれなきゃ……分かんないよ。」
こっちだって引き下がれない。
「はぁ……、分かった。」
村沢は少し離れると咳払いを一つして
「俺はお前がーーー好きだ。これからは俺だけに笑顔を見せろ。」
そう言うと、私が返事をする前にまた唇を重ねてきた。
なんて一方的な告白なんだろう。
私の気持ちなんて最初から無視じゃない。
だけど不思議と嫌じゃない。
寧ろ、さっきからドキドキが止まらない。
三月の終わりでまだ少し肌寒いけれど、急激に私の心は熱くなり始めていた。
公園の桜はまだまだ蕾の段階だけど、きっとあっという間に満開の花が咲くだろう。
ずっと真冬のように凍り付いていた私の心が溶けはじめて行く。
漸く私は花咲き乱れる春の訪れを感じた。
終