上司のヒミツと私のウソ
 それから頭を抱えて「悪いが、なんの話だかさっぱりわからん」と、いった。


「例の企画をあきらめるなと、彼女にけしかけているのはあなたでしょう?」

「ちょっと待て。どうして俺が」

「この前いってたじゃありませんか。フレーバーティーを復活させることを、彼女と約束したって」

「二か月も前の話だぞ。それに、そうなればいいっていう話をしただけで、約束というほどのものじゃ……まさか、西森さんが何かやらかしたのか?」

「フレーバーティーの企画を、ひとりで進める気ですよ」

「そりゃまた……」


 本間は驚いていた。最初はとぼけているのかと勘ぐったが、どうやらほんとうに知らないらしい。

 完全にあてが外れた。


「すみません。てっきりあなたが手引きしているのかと」

「ど阿呆。他人の部下にそんなことするわけないやろが」


 そりゃそうか。

 だとしたら、あの資料は西森がひとりで集めたのか?
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