上司のヒミツと私のウソ
 商品開発を一から考え直すということは、商品の内容如何によっては、西森の宣伝企画がまったく採用されなくなる可能性もあるということだった。


 そもそも西森の企画は、企画内容もタイミングも偶然『キャラメルミルクティー』の発売時期にぴったりだったという理由で、運良く採用になったものだ。


 その経緯を鑑みると、商品開発が一旦白紙になれば、セットとして考えられていた宣伝企画も同様に白紙になる可能性が高い。


──なんとか……。

 西森の宣伝企画を生かせる、打ってつけの商品を提案したい。


 そう考えて二か月。もう二か月も過ぎてしまった。


 この際、そんな馬鹿な考えはさっさと捨てて、開発部に協力を願うほうが賢い選択かもしれない。

 たとえ新しい商品開発の許可がおりたとしても、こんなやり方でプロジェクトがうまく進むともおもえなかった。


 いずれにしろ、それが現実になるのは時間の問題だ。本間がこのまま黙って引き下がるはずがない。
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